払いすぎた利息のこと
消費者金融に対する過払い金が大きな話題となり、社会問題にも発展しました。
全国各地で過払い金の返還を求める訴訟が起こり、その多くで原告の利用者の側が勝訴し、多額の返済を迫られた消費者金融の中には経営状態が急激に悪化したケースも見られます。
それだけかつては過払い金というものがごく当たり前のものとして発生していたのです。
この過払い金とは簡単に言えば「払いすぎた利息」のことです。
お金を借りるときには金利に基づく利息が発生します。
これは消費者金融だけの話ではなく、銀行から融資を受ける場合でも同様で、むしろ当然のことです。
ただ問題なのは金利の設定と発生する利息の金額です。金利が高くなればなるほど発生する利息も高くなるわけですが、この金利の設定に問題があったことから規制を超えて利息が発生していたケースが相次ぎました。
これが過払い金です。
グレーゾーン金利がもたらした過払い金
ではどうして規制を超える利息が発生したのか、金利の設定に問題が生じたのか。
決められた範囲を超えた金利設定をしている金融機関は違法なヤミ金ではないのか?
そんな疑問も浮かぶはずですが、これには利息制限法と出資法という、金利の上限を定めた2つの法律の存在が深く関わっています。
出資法に定めた金利の上限は29.2パーセントであるのに対し、利息制限法は15~20パーセント(融資を受ける金額によって異なる)と設定されています。
ですからこの2つの条件の間には9.2~14.2パーセントの金利の差が生じることになります。
これを「グレーゾーン金利」と呼んでいます。
たとえば100万円を15パーセントの金利で借りると1年で15万円、それに対して29.2パーセントで借りれば29万2000円。その差は14万2000円となります。
簡単に言えばこの差額が過払い金なのです。改正貸金業法では利息制限法の設定が上限とされているのも関わらず、出資法で融資しても刑事罰は問われないことから、こうしたグレーゾーン金利による過払い金が大量に発生するようになったのです。
過払い金返還の現状
これは個人の問題だけでなく、消費者金融からお金を借りて資金繰りを行っている中小企業にとっても無縁の話ではありません。
債務整理を行う際に負債を減額できる余地もあるからです。
過払い金が発生していれば誰でも返還を求めることができるのですが、金融機関としてもすんなりと返すわけにはいかない事情もあり、なかなかうまく交渉が進まない傾向が見られます。
しかも過払い金には10年という時効が設けられており、それを過ぎると請求できなくなる問題も抱えています。